改定前の商標法は商標権存続期間を存続期間更新登録申請により10年ずつ更新可能で、その際に商標権が共有のものであれば、共有者全員が共同で存続期間更新登録申請をしなければならなかった。しかし、共有者のうち一部が所在不明であったり、当事者の一方が悪意的に更新登録を拒否した後、密かに同一の商標を出願して単独で商標を取得する等の、被害事例が発生する一方、商標権の消滅により同一の商標に対して再度出願手順を行わなければならない等の時間的・経済的費用を更に要していた。
韓国特許庁によると、特許権等とは異なり、信用の標識である商標権の特性上、共有商標権は共同事業等のための個人・零細事業者の共同出願が大部分であり、ここ3年間で共有商標権の更新登録を申請したが返戻された179件のうち43件(23%)が共有者全員の申請がないことから更新されなかったものだと分かった。
このような事例を反映し、2019年の商標法一部改正(2019.4.23.公布、2019.10.24.施行)により、複数人が共同で商標権を保有する共有商標権を更新して継続使用しようとする場合、共有者のうちの1名の申請だけでも更新が可能となるようにし、共有者全員の同意を得なければならない手続の困難を解消し、事業者が商標権の消滅に対する心配なしにより安定的に商標を使用できるようにした。
<改正前の商標法> 第84条(存続期間更新登録申請) ③商標権が共有である場合は共有者全員が共同で存続期間更新登録申請を行わなければならない。
<改正後の商標法[法律第16362号、2019.4.23.、一部改正]> 第84条(存続期間更新登録申請) ③削除<2019.4.23.>
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今回の商標法改正に対し、韓国特許庁のイ・ジェウ商標デザイン審査局長は「個人の零細事業者が10年間使用してきた商標権をより便利で迅速に延長できることとなり、商標権の消滅に対する心配なしに安定的に事業を営為できるようになった」と表明した。
一方、デザイン保護法施行規則改正(2019.10.1.施行)によると、従前の施行規則では、デザイン登録出願の際にデザイン図面を「基本図面」、「付加図面」、「参考図面」に区別し、各々別途提出しなければならなかったのに対し、改正施行規則では、「基本図面」と「参考図面」の2種類に統合かつ簡素化され、「付加図面」は「基本図面」に統合され、部分拡大図、切断図、展開図等は別途提出する必要がなくなった。
また、一組で構成された物品のデザインについても、従前は一方のみ示した場合、残りの一方も必須的記載事項であり、デザインの説明にその記載がない場合は拒絶理由に該当したが、改正施行規則によると、残りの一方を省略しても当業界で一般的な常識として認められる一組の物品であるならば、省略した図面のデザイン説明がなくても認められ、そうでない場合にのみデザインの説明に記載することと、図面審査要件が緩和された。