模倣製品(me-too product)の商標権侵害を認定(“ハニーバターアーモンド”包装の前面使用標識の摸倣を認定)
:特許裁判所2019.10.2.宣告2019ホ2868判決
模倣製品(me-too product)とは、競争社の人気製品を摸倣してリリースしたものであり、既存製品の人気に便乗した商品を指す。菓子を含む食品業界において特に競争社が、市場で1位を占めている競争商品の人気に便乗して自社製品の販売率を高めるために類似のブランドを使用することを指し、あからさまに‘コピブランド’とも表現する。
このような模倣製品の侵害行為を防ぐために、不正競争防止法第2条第1号ザ目には‘他人が製作した商品の形態を摸倣する行為’を不正競争行為として規制しているが,既存製品の権利範囲を訴訟の過程で立証しなければならないという点と、リリース時点から3年間だけ保護されるという限界があり、食品業界では昨今、包装前面に使われるデザイン標識を商標として登録し保護するための出願が増加している。
こうした中、弊所では最近、競争社の人気製品である包装前面のデザインを摸倣した模倣菓子商品に対し商標権侵害を主張し、特許審判院と特許裁判所がこれを認定したという結果を導き出した。
最近では、GILIM INTERNATIONAL CO.,LTD.の“ハニーバターアーモンド”製品が韓国を訪問した際、必ず購入すべきK-FOODと呼ばれ人気を得てから、当該製品の前面標識を摸倣した製品が市場にリリースされて紛争が発生した。GILIM INTERNATIONAL CO.,LTD.は製品の前面標識を商標として登録しておいたため、他社の使用標識に対して商標権侵害を主張した。
GILIM INTERNATIONAL CO.,LTD.のハニーバターアーモンド登録商標 |
M社のハニーバターアーモンド包装の前面標識 |
M社は特許裁判所における訴訟過程で、包装前面に使われたデザインは商標として機能せず、特にPB商品販売等での商標権者の具体的な使用実態を理由に登録商標における図形部分の出処表明機能(識別力)を認定できないと主張したが、特許裁判所は、このような主張を受け入れず、M社の製品がGILIM INTERNATIONAL CO.,LTD.の登録商標の権利範囲に属すると判決した。
本事件で特許裁判所は、製品の前面標識に使われている図形の支配的な印象が類似しているとみなし、M社の使用標識がGILIM INTERNATIONAL CO.,LTD.の登録商標の権利範囲に属すると判断した。
両標章は、擬人化された蜜蜂の細部的である形状(、)、蜂蜜のつぼの形状(、), 褐色の枠の有無(、 )、‘ ’ 標識の有無等で違いがあるが、これは離隔的観察では容易に把握し難い程度の違いであり、文字と図形の構成及び全体的な配置、蜜蜂を擬人化したキャラクターで表現した点、一匹の蜜蜂キャラクターが蜂蜜のつぼから蜂蜜をすくい、もう一匹の蜜蜂キャラクターは、バター一片を持って溶かしたバターをかけ、他のもう一匹の蜜蜂キャラクターは万歳の動作をしているという点、全体的に一つのストーリー又は童話的な場面を表現しているという点でモチーフが同じであり、全体的な構成とそこから受ける支配的な印象が類似すると判断したのである。
多様な図形的要素が結合している図形商標で全体的に支配する印象が類似している場合、類似商標であると判断すべきだとの法理を確認しつつ、製品包装の前面標識を摸倣した模倣製品の商標権侵害を認定した有意義な判決である。