韓国特許庁、「知財権紛争における共同対応支援事業」の効果高く
商標ブローカーが先取りしたK-ブランドの商標53件…中国で無効に
韓国特許庁は、海外商標ブローカーによる被害企業を支援するために2018年に推進した「知財権紛争における共同対応支援事業」の結果、共同対応に向けて構成された53の企業が無効審判などで勝訴したと発表した。
この53の企業は中国の主要商標ブローカー(5名)から被害を受けたフランチャイズ・人形・衣類・化粧品など、4業種の韓国中小企業であり、これまで計53件の商標権紛争において全部勝訴する結果となった。
企業名 |
韓国企業の商標 |
無断先取り商標 |
備考 |
EVERIT CO., LTD. |
|
|
無効審判勝訴 (‘19.8) |
OMFOOD |
|
|
無効審判勝訴 (‘19.8) |
DELIHANDS |
|
|
無効審判勝訴 (‘19.8) |
CHAMIMAT Co., Ltd. |
|
|
無効審判勝訴 (‘19.8) |
Sukbong Toast |
|
|
無効審判勝訴 (‘19.10) |
SOOM KOREA CO,.LTD |
|
|
無効審判勝訴 (‘19.9) |
MONOCHROME INC. |
|
|
無効審判勝訴 (‘19.9) |
これまで中国における韓国企業の認知度は相対的に低く、ブローカーが先取りしている商標を無効にすることが困難であったが、中国商標当局における商標ブローカー根絶に向けた政策をうまく活用することにより、今回の勝訴を得たと分析している。
特に同じブローカーから被害を被った企業が協議体を構成して共同対応する方式は、商標ブローカーの悪意性をより容易に立証でき、共通資料も活用できるためコスト削減の効果もあり、企業間のノウハウを共有できるので、知財権紛争対応への力量を高めたと見られる。
今回の商標ブローカーへの共同対応は、同業種で先取りした商標を付けて実際に商品販売をした商標ブローカーに対しても勝訴した。商標ブローカーがオンラインショッピングモールなどで商標を使用している場合には、中国商標法及び商標審査基準で規定している「商標ブローカー」に該当するのかが不明確であった。しかし、商標ブローカーが先取りした商標を使用したとしても、これは単純な外形上の使用に過ぎず、他人の商標を大量に無断で先取りしていること自体が、商標の公正使用の秩序を乱す信義誠実の原則を違反する不公正使用であると証明することで、全部勝訴という結果となった。
決定文の主な内容は下記の通りである。
“商標登録は信義誠実の原則と公共の商道徳を遵守しなければならず、商標登録の秩序を撹乱し、社会の公共利益を害する等の方式で不当な利益を図ってはならない。被申請人は、本件商標以外にも多数の商標を出願・登録し、上述の商標は(…中略…) 他人の商標を複製, 剽窃した故意が明白であり、信義誠実の原則を違反した。被申請人の悪質な登録行為は、中国の正常的な商標登録及び管理秩序を撹乱し、公正競争の市場秩序に害になる。結論として、被申請人が本件商標を出願登録した行為は既に〈商標法〉第44条第1項に規定された‘その他の不正当な手段で登録を受けた’場合に属する。
韓国特許庁のモク・ソンホ産業財産保護協力局長は“依然として海外の商標ブローカーが本来の権利者である韓国企業に警告状を送付したり、高額な和解金や使用料を要求するなど、持続的に金銭的な被害を起こしている”とし、“商標ブローカーの活動を根絶するための長短期的な対応策を設け、紛争被害の長期化に備えられるよう、より支援を拡大していく予定である”と明らかにした。