韓国特許庁は、国内企業が特許を迅速に出願できるよう既存の明細書書式に従わずとも発明の説明を記載した「臨時明細書」を提出できる制度を設け、2020年3月30日付にて施行した。
特許は世界で最も早く発明を出願した人にその発明の独占権を与える制度なので、企業間で類似の技術を他の企業より先に特許出願するための競争が熾烈である。
しかし、これまでは特許を出願する際に、規定の書式と方法に従って作成された明細書を提出しなければならないため、論文等の研究結果を明細書形式で再作成するのに時間がかかり、迅速な出願が難しいという意見が多かった。
そのため、韓国特許庁は特許または実用新案を出願する際に、これまでの書式に従わず自由な形式の臨時明細書を提出できるよう、特許法・実用新案法の施行規則を改正した。
ただし、臨時明細書を提出した状態では特許審査を受けることができないので、当該発明に対する特許を受けるには出願日から1年以内に優先権を主張し、再度出願することで臨時明細書を提出した日付として出願日の認定を受ける方法が勧められる。あるいは、臨時明細書の提出日から1年2ヶ月以内に正式明細書を再度提出する方法も可能である。
韓国特許庁は今回の制度改善に合せて臨時明細書で提出できる書類を、その形式に関係なくPDF、JPG等の一般的な電子ファイルであれば全て可能とするよう電子出願システムも改善した。従って、出願人は、論文・研究ノート等に記載された発明を別途の修正作業なしでそのまま提出できる。
このように特許明細書の提出要件の緩和により、韓国内でも研究結果を迅速に特許出願できることになり、産業界での利用が活発になる見込みである。
ボク・ウォンズ特許庁長は、“従来は明細書作成のための別途の時間を要し、特許出願日を早く確保し難いとの企業が多かった。今回新たに設けられた臨時明細書制度を活用すれば、我が国の企業が開発した技術に対して以前より速かに特許を出願し、その後改良した発明に対しても優先権を主張して出願日の認定を受けるなど、より効果的な革新技術の保護が可能になると期待する”とした。
韓国特許庁報道資料より