消費者の商標認知度アンケート調査関連、特許審判院ガイドライン発表
商標をめぐる紛争では、商標の識別力の強さ、長年の使用による識別力取得の可否、商標の周知・著名性、商標の類似性乃至混同可能性に対する判断が必要であるが、このようなものはいずれも需要者の’認識'に関するものであるという点で消費者の認識に関する証拠を裁判に提出することが必要となる。これに伴い、商標関連紛争において一般需要者の認識の程度を調べる'消費者認知度アンケート調査'が活発に使われている。
例えば、出願商標( )が、ポーランド等外国需要者の間で特定人の
商品を表示するものと認識されている先使用商標( )と類似し、商標法第34条第1項第13号に該当するのか否かを争った事案において、特許裁判所は、消費者認知度調査結果を商標の周知性認定根拠の一つとして活用し、"先使用商標の認知度はポーランドのビタミン、ミネラルブランド市場において、・・・2008年6月頃にはブランド認知度は純枠想起率30%、非助成想起率66%、助成想起率90%であり、広告認知率15%、非助成想起率32%、助成想起率42%に達し、…セントルーム(Centrum)に次ぐ認知度第2位のブランドに該当し、…本事件出願商標の出願日である2008年12月31日頃はポーランドでは少なくとも特定人の商標や商品を表示するものと認識され得る程度に知られていたと見なすのに相当する“と判断したこともある(特許裁判所2012.4.27.宣告2011ホ11231判決)。
一方、商標紛争事例で消費者認知度アンケート調査の活用度が高くなっているだけに、実務的に相手側が提出したアンケート調査結果に対して公正性、適正性、客観性等の調査結果の証明力を争うケースが増えている。
このような現状を反映し、特許審判院は2019年4月、特許審判に提出される商標消費者認知度アンケート調査の証明力を認めるためのアンケート調査方法ガイドラインを発表した。その主な内容を検討すると、下記の通りである。
▣当事者が周知・著名商標又は使用による識別力等に対する立証資料として‘消費者認知度調査'(アンケート調査)を提出する場合、審判(審査)官はアンケート調査の信頼性可否を評価するにおいて下記の事項を考慮した上で総合的に判断する。
1)信頼性のある世論調査機関により検証された調査方法で実施されなければならない。 -世論調査機関の規模、世論調査実施回数、常勤の分析専門人員数等を考慮して信頼性のある世論調査機関であるかどうかを判断するものの、各種の制限がある場合等を勘案する。 -韓国ギャラップ・メディアリサーチ・リアルメートル等、現在活動している中央選挙世論調査審議委員会の登録機関(約80)等は独立的な世論調査機関とみなす。
2)対象商標・商品の消費者を代表できる特性(地域・性別・年齢等)が反映されなければならない。 -商品別に標本設定が異なることがあるので、商品の特性が重要な場合(例:女性専用用品や特定の疾病・疾患に利用される医薬品等)は、その特性が反映されなければならない。
3)調査方法においても信頼度が高くなければならない。 -回答回収率が30%未満である場合は信頼度が低いとされ、50%以上であれば信頼度が高いとされる。ただし、30%~50%の間の場合は裁量や判断の余地がある。 -応答標本数は商品の種類によって流動的であるが、一般的に500人以下の場合は信頼度が低く、1000名以上の場合は信頼度が高いと判断する。 -質問方法は明確であるべきで、誘導的であってはならない。
○一つのテーマに関するもので、簡単かつ明瞭な文で構成されなければならない。 ○明確でない内容を推定するようにしてはならず、全ての回答者に同様に理解されなければならない。 ○回答者の能力と経験から外れてはならず、一般的な場合を表現するために特定の事例を使用したり、関連のない内容を質問してはならない。 ○調査の主体・方法が検証されていない独自のアンケート調査は信頼度に不足する。 ○判断基準時点から相当な時間が経過してから行われたアンケートの場合、当時の需要者認識を反映できないため信頼度に欠ける。 ※出処:韓国特許審判院審判政策課、'商標認知度調査方法ガイドライン'、韓国特許庁、2019
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上記のガイドラインは、消費者認知度調査の効果的な活用のための証明力に関する明確な基準を提示したことに意味がある。従って、消費者認知度調査を活用しようとする審判当事者は、調査の設計段階から選ばれた母集団が実際の取引状況を十分反映しているのか、抽出した標本が母集団を代表することに問題はないのか、誤差を縮めるための統制が設定されているのか、調査結果を歪曲する要素が含まれていないのか等を考慮した上で、調査結果の信憑性と実効性を向上させようとする努力が必要であると言える。