韓国大法院、法務法人の商標登録出願の代理を認定
-科学技術界、専門資格士団体が一斉に反発、韓国弁理士会は韓国特許庁への協調要請及び法改正など総力対応
法務法人の名義で代理した商標登録出願を無効とした特許庁の処分の取消を求める行政訴訟で韓国大法院が法務法人の肩を持った。
自動的に弁理士資格を取得した弁護士が1人でも法務法人に所属していれば、その法務法人の名義で商標登録出願を代理できることになったわけである。
これに伴い、法務法人が出願と関連した経験や知識が全くなくても商標出願の代理が可能となり、消費者への深刻な被害も懸念されている。
韓国大法院は2022年2月10日午前、韓国特許庁の上告を棄却し,弁護士法第49条第2項と第50条第2項等に基づき、法務法人の商標登録出願の代理が可能であるという原審判決を確定した。
2016年7月、韓国内のある商標出願人の行政訴訟が発端となった法務法人の商標登録出願の代理の議論に対し、6年ぶりに大法院の判断が下されたものである。大法院は、今回の事件の争点である法務法人の特許庁に対する代理業務の遂行可能の如何については基本的に立法者が決定する事項であり、現行法ではこれを制限する明示的な規定がないとみなした。
大法院は判決文において、“業としての任意代理人の資格を特許法人などにのみ制限したことがなく、そのように解釈されてもいない”とし、“法務法人が弁理士資格のある構成員やそのような構成員並びに所属弁護士を担当弁護士と指定し、特許庁に対する代理などの業務をすることを禁止すべき合理的な理由がない”と判示した。
また、出願書の各種誤謬及び資格未逹(出願代理した弁護士は出願直後休職)に対する補助参加人の追加の主張に対しては受け入れなかった。
しかし、韓国弁理士会は、判決の土台となった事実関係の認定など、事実審の段階から再論の余地が大きいとみている。
韓国弁理士会は判決直後、声明を通じて、大法院の判断を強く糾弾する一方、弁護士万能主義による消費者の被害を指摘した。
科学技術界と専門資格士団体も、大法院の判断に一斉に反発し、弁護士の弁理士自動資格の廃止などを促した。
専門資格士団体協議会は2022年2月21日付にて共同声明を発表し、専門資格士の固有の業務に対する大法院の相次ぐ法務法人の勝訴判決に対して非難の声を高めた。
それ以前の2022年2月16日、大韓民国科学技術大連合も、大法院の判決が弁理士を準備する科学技術専攻者にとっては公正の価値を毀損する判断であるとし、弁護士の弁理士自動資格の廃止を促した。
韓国弁理士会は、今回の判決が業界に及ぼす影響などを考慮し、韓国特許庁と協調する一方、関連法改正はもちろん憲法訴願の提起など今後の対応の準備に積極的に取り組む方針である。
※出処:特許と商標