商標が広告に使用されたことだけでは不使用取消を免れることができない-特許法院2021ホ3192判決
最近、不使用を原因に登録商標の取消を求める事件において特許法院は、商標が名刺、売場、ホームページ、一部の商品に使用された証拠が提出されたにもかかわらず、具体的な事実関係を綿密に検討し、そのような使用証拠は不使用取消を免ずるための名目上の使用に過ぎないので、該当登録商標は不使用を原因として取消されるべきであると判断した。
該当事件において特許法院は、“商標をその指定商品に表示するなどと使用した事実があるとしても、その指定商品が国内で通常の商取引を通じて流通されることを前提としたものでなく、単純に登録商標に対する不使用取消を免れるために極めて少量の商品に商標を表示した程度であれば、それはいわゆる名目上の使用に過ぎないものであって、商標法第119条第3項の所定の正当な使用であるとはみなすことはできない”という原則を再確認しつつ、提出された大部分の使用資料が商標権者(原告)が被告に商標使用中止通告状を発送した以後から本事件審判請求日以前までの6ヶ月の期間中に作成されたものであり、被告が内容証明郵便を通じて原告側の商標使用実績を全く確認できないという趣旨を指摘したにもかかわらず、本事件訴訟に至るまで納得できる使用実績を提示できておらず、原告が本事件商標を使用したと主張する事務用椅子製品を実際に輸入又は販売した客観的な証拠がなく、原告は商標が使用された製品の写真を提出したが、該当製品は原告が取扱っていた既存の製品とはそのモチーフや審美感がかなり相異するという点、商標が堅固な方式で表示されたものでないため簡易に付着・除去が可能であろうと見られる点、該当製品の写真が審判請求日以後に撮影されたものである点、オンラインショッピングモールの広告においても購買ボタンが活性化していない点などを考慮すると、名目上の使用に過ぎないと判断した。
判決文の内容を検討すると、本事件商標の登録権者は、不使用中に他人の使用事実を知り、商標使用中止及び損害賠償を求めたが、最終的に本事件商標が不使用を原因に登録が取消されるという結果が発生した。商標権侵害行為によって発生した‘損害’は、商標権者が該当商標を使用していることを前提とするが、本事件の場合、不使用を原因として商標登録が取消されたものであるだけに、商標の取消前に発生した商標権侵害行為についても損害が認定されない可能性が非常に高い。
法院が提出した資料及び全体的な情況と関連した事実関係を綿密に検討して名目上の使用であるのか否かを判断しているだけに、商標を実際に使用していない商標権者は、権利行使においてより慎重になる必要があると思われる。