2022年から変わる韓国の知的財産制度 及び統計動向
1.2022年2月までの知的財産統計動向
韓国特許庁が3月に発表した知的財産統計動向によると、2022年1月から2月まで特許、実用新案、デザイン、商標の累積出願件数は前年同期比3.5%減少の84,692件であり、特に2月の場合、前年同月比4.9%減少となったのに対し、登録件数は前年同期比0.3%増加の52,865件、特に2月には前年同月比2.4%増加の26,133件であると確認しました。一方、審査請求件数は前年同期比7.3%減少の31,437件、審判請求は前年同期比6.9%減少の1,113件との集計でした。
全体出願件数のうち、実用新案、デザイン及び商標は各々20.2%、17.8%、2.7%の減少傾向を示したのに対し、特許出願は0.3%増加の33,375件でした。
2.最近の人工知能半導体技術動向
人工知能半導体技術は複雑な計算を順次処理する中央処理装置(CPU)、単純計算を並列処理するグラフィック処理装置(GPU)を活用した第1世代半導体、プログラミングが可能な集積回路半導体であるFPGA(Field-Programmable Gate Array)、特定の目的のために設計された集積回路であって、主に注文型半導体と呼ばれるASIC(Application-Specific Integrated Circuit)を活用した第2世代半導体、そして、ニューロンとシナプスの形態を摸倣した回路を意味するニューロモルフィック回路(neuromorphic circuit)を活用した第3世代半導体に区分されます。
世界最大の市場である米国での特許動向によると、韓国は人工知能半導体の第1・2世代において中国・日本・台湾と第2位の座をめぐって競争構図にあるのに対し、第3世代のニューロモルフィック分野では出願件数のうち18%を占め、各々4%、2%、0%を占める日本、台湾及び中国に比して先行していることを確認しました。
2016年から2019年の間、1,371件から6,758件と出願件数が3年間で約400%近く増加した、これら人工知能半導体分野の主な特許出願人をみると、全ての分野においてIntel、IBM、NVIDIA、三星電子など既存の主要競争企業が上位を占めています。
2000年から2021年までの特許出願件数を検討すると、第1世代の人工知能半導体分野では、Intel824件、IBM244件、Nvidia208件、三星電子153件、Microsoft126件の順、第2世代の分野ではIntel178件、三星電子116件、IBM88件、Microsoft85件、Micron50件の順、そして、第3世代の分野ではIBMが222件、三星電子79件、Intel46件、HRL40件、SK Hynixが38件の順で特許を出願したことを示しています。
韓国特許庁はこのように半導体分野の競争が激化する中、韓国企業が技術革新を主導する可能性が高い第3世代のニューロモルフィック半導体で韓国企業の躍進が注目されるという経済追撃研修所のオ・チョル教授の意見を引用しつつ、今回の分析結果を基に“人工知能半導体産業の競争力向上に寄与できる特許審査政策を積極的に樹立”して行く予定であることを明らかにしました。
3.2022年に変わる知的財産制度・支援施策
イ.不正競争防止及び営業秘密に関する法律の改正
1)データの保護、不正取得・使用行為(2022.6.8.施行)
-取引の目的で蓄積・管理したデータを不正な方法で取得したり使用する行為を不正競争行為の類型に追加(不正競争防止法第2条第1号(カ)目)
-データの不正使用行為に対する救済措置:民事上の禁止請求・損害賠償請求及び行政上の行政調査・是正勧告可能
-技術的保護措置を正当な権限無しに故意に無力化する行為に対しては刑事処罰可能
2)有名人の肖像・姓名などの無断使用行為(2022.4.20.施行)
-有名人の肖像・声明など無断使用行為により経済的な利益が侵害された場合の救済措置:民事上の禁止請求・損害賠償請求及び行政上の行政調査・是正勧告可能
ロ.審査手順など行政改善
1)特許出願分離制度(2022.4.20.施行):特許法第52条の2
-拒絶決定不服審判の棄却審決を受けた後、特許法院への提訴期間内に拒絶決定当時に拒絶されなかった請求項のみを別途分離して出願可能
2)特許・商標・デザインの審判請求期間延長(2022.4.20.施行)
-特許・商標・デザイン出願に対する審査官の拒絶決定に対する拒絶決定不服審判請求期間を既存の30日から3ケ月に延長(特許法第132条の17、商標法第116条、デザイン保護法第120条)
-商標・デザイン補正却下不服審判請求期間を既存30日から3ケ月に延長(商標法第115条、デザイン保護法第119条)