近年、仮想世界関連ビジネスが活性化し、メタバース内でデジタル商品の取引が増加するにつれ、仮想世界での商品・サービス業に対する商品類及び類似群コード分類基準を整備する必要性も台頭した。実際、2019年以前は仮想商品を指定商品にした商標出願が20件に過ぎなかったが、2022年には計760件に達しており、これにより韓国特許庁は2022年5月、仮想商品に対する具体的な指定商品名称の範囲、類似判断の処理指針を設け、出願人の便宜及び審査の一貫性を高めるために“仮想商品審査処理指針(案)“を発表した。
該当指針では、仮想商品(Virtual Goods)の商品名として“仮想環境用の仮想衣類が収録されたダウンロード可能なコンピューターゲームプログラム“のように、”仮想商品+ソフトウェア/プログラム“として出願された場合、商品類第9類の“応用ソフトウェア”と同一の商品類及び類似群コードに分類されるとした。
ただし、“ダウンロード可能な仮想商品、すなわちオンライン及びオンライン仮想世界用コンピュータプログラム”や“仮想商品”自体は不明確であり、“ダウンロード可能な仮想商品、すなわちオンライン及びオンライン仮想世界用のシューズ/衣類/帽子/めがね/かばん/スポーツかばん/リュックサック/スポーツ装備/芸術品/玩具/アクセサリが収録されたコンピュータプログラム”、“ダウンロード可能な仮想衣類”などのように具体的に補正しなければならない。
また、“メタバースを用いた家具販売代行業”、“仮想世界での広告代行業”、“仮想環境を用いた音楽公演業”などのように“仮想商品+既存の指定サービス業名称”で構成されたサービス業名称は、仮想環境を手段としているだけであって既存のサービスの提供形態及び目的と同一であるとみなせるので、これに含まれている既存の名称である“家具販売代行業”、“広告代行業”、“音楽公演業”の基準により商品類及び類似群コードが分類される。
それ以外にも、具体的な現実の商品が仮想商品化した場合、“仮想衣類”、“仮想帽子”、“ダウンロード可能な仮想衣類”、“メタバース用仮想衣類”、“ダウンロード可能な仮想衣類オンライン小売り業”、“仮想製品、すなわちオンライン仮想世界で使用する衣類及びシューズを特徴とするオンライン小売り業(retail store services featuring virtual goods、namely、clothing and footwear for use in online virtual worlds)”などのように商品名を指定しなければならないとし、これは、既存の指定商品名称のうち商品類第9類の“ダウンロード可能なイメージファイル”と同一の商品類及び類似群コードと分類され、商品の類似の可否もそれを基準に判断されるとした。例えば、商品類第9類の“仮想シューズ”と、第9類の“仮想衣類”は、いずれも同一の類似群コードに該当するものとして類似の商品であると推定されるが、商品類第9類の“仮想シューズ”と第25類の“シューズ”は取引実情が一致しないので、非類似であると推定される。ただし、周知著名な商標の場合、仮想商品と現実の商品の間の出処の誤認・混同が発生する恐れがある際には、それを理由に仮想商品に対する登録が拒絶され得る。
韓国特許庁が上記のような審査指針案を発表したが、これは審査上の便宜のためのものであると言え、今後、多様な事件においてこれと関連した審決乃至判決例が形成されると、審査指針も変更されるか、より細密に整備されると見られる。