1.2022年5月までの知的財産統計の動向
韓国特許庁が2021年6月に発表した知的財産統計の動向によると、2022年1月から5月まで特許、実用新案、デザイン、商標の累積出願件数は前年同期比6.3%減少の219,543件であることがわかった。ただし、5月の場合、前年同月比0.01%減少であると示され、出願件数は年初に比べて徐々に増加していることがわかった。特許1.5%、実用新案22.5%、デザイン14.7%、商標は7.2%ずつ出願件数が各々下落した。同様に、審査請求件数も前年同期比12.6%減少した。
一方、知的財産権の登録件数は前年同期比3.5%減少の135,099件であり、前年比0.4%増加の55,637件が登録された商標を除き、特許(5.7%下落)、実用新案(21.7%下落)及びデザイン(6.3%下落)はいずれも減少したとの集計だ。
審判請求件数も前年同期比減少と確認し、1~5月の期間中に前年同期比9.1%減少の2,948件を受け付けた。
2.公知例外主張制度の活用現況
公知例外主張とは、発明が出願前に公知されたとしても、出願人がそれを公知した場合、又は出願人の意思に反して公知された場合、公知日から12ケ月以内に出願すると、その出願発明が公知されていないものとみなして特許を受けることができるようにする制度である(特許法第30条第1項)。
韓国特許庁は、公知例外主張制度が、2001年から2020年までに76,063件の特許及び実用新案出願で利用され、2001年にはわずか732件に過ぎなかったが2020年には5,346件と大幅に増加し、年間の利用数を比較すると持続的に利用されていることがわかるとした。
出願件数に対する公知例外主張の割合は、大学(20.1%)、研究機関及び公共機関(8.4%)、非営利機関(8.0%)の順で、企業の場合は、中小企業(1.3%)、中堅企業(1.4%)、大企業(0.6%)の利用頻度を示した。韓国特許庁は、このような現象につき、大学は技術を開発した後、論文を先に発表してから特許を出願する傾向が強いのに対し、企業は市場の先占のために、技術を開発してから直ちに出願を進行するためである。
公知例外主張制度は、“grace period”と略称され、他の主要国でも施行されている。米国の場合、韓国と同様に12ヶ月の例外期間が与えられ、公知の形態は問題としない。その反面、ヨーロッパ及び中国での公知例外期間は米国の半分である6ヶ月であり、公知の形態においては、ヨーロッパは国際博覧会で公開された場合等に、中国は中国政府が主管・承認した国際展覧会及び規定された学術会議で公開された場合等に制限しており、より厳格な要件を要求している。よって、公知例外主張制度を利用するとしても、海外出願の際には各国の制度の差異点を念頭に置く必要がある。
3.パブリシティー権の無断使用行為に対する制裁の施行
前回の弊所ニュースレターに掲載したように、2022年4月20日から施行されている不正競争防止及び営業秘密に関する法律は、第2条第1号(タ)項目において、韓国内で広くに認識され、経済的な価値を有する他人の氏名、肖像、声明、署名など、その他人を識別できる標識を、公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で自分の営業のために無断で使用することで他人の経済的な利益を侵害する行為を不正競争行為に含ませた。
上記のような不正競争行為が発生した場合、被害者は損害賠償及び禁止などを請求でき、特許庁に行政調査を申請し特許庁による是正勧告及び公表も可能となった。 いわばパブリシティー権を保護するための目的で新しく施行された上記規定は、韓国のエンターテイメント産業をより幅広く保護する装置として使用され得ると期待されている。