韓国特許庁、「第2·第3の“トプチュク”事態の防止へ」
「小規模事業者IP力量強化事業」に来年度予算を25%増額し支援を拡大
2023年の成果として小規模事業者の商標·デザイン·特許の計4,290件の権利化を支援
韓国特許庁が小規模事業者の知的財産権利化を支援する「小規模事業者のIP力量強化事業」が2023年に高い成果を記録した。
韓国特許庁は、認知度を確保している類似の商標をフランチャイズ会社などが先に商標出願した事例である「浦項(ポハン)トプチュク(덮죽、お粥に色々なトッピングをのせて食べる新しいお粥)」、大企業が類似商品を販売し紛争が起きた「春川(チュンチョン)カムジャパン(ジャガイモパン)」事件を契機に、2022年から小規模事業者の知的財産関連被害を防止し、商標·デザイン·特許を保護するための小規模事業者IP力量強化事業を持続してきた。
支援事業の結果、2023年には▲小規模事業者保有商号などの出願を支援する「IP出願支援事業」を通じて3,887件▲伝統市場·路地商圏の特色を反映した「伝統市場共同ブランド·デザイン開発支援事業」により伝統市場22ヶ所で223件▲市場·製品·特性を反映したブランドとデザインなどの融合開発を支援する「IP創出総合パッケージ支援事業」を通じて89社を対象に180件、計4,290件の権利化を支援した。
「儀旺(ウィワン)トッケビ市場(非常設市場として始まった伝統市場の一種)」は「釜谷(ブコク)トッケビ市場」という名称であったが、特色のないブランドであり、他のトッケビ市場と類似したトッケビ(韓国の鬼)のキャラクターを使用したことにより、積極的に活用されてこなかった。よって「義王トッケビ市場」と名称を変更し、他のトッケビ市場との差別性を強調するために「ヨギトゥクタック」(今、まさに、ここでお客が望む全てのものを手に入れられる市場)というブランドネーミングを追加した。また、鬼の角をポイントにしたブランドデザインと鬼の仮面をかぶった可愛らしいキャラクターを開発した。このような商標とデザインをエコバッグ、買い物用カート、オンライン販売包装などに導入し、地域住民の好評を得て市場商人から好評を得た。
「チンミ ヤンニョムチキン」は30年間ヤンニョムチキン(タレに和えたチキン)を販売してきた店舗であり、有名なTV番組である「ペク·ジョンウォンの3大天王」や「百年店江原道1号店」に選ばれたが、先登録された他業者の類似商標が存在し、事業拡張に紛争のリスクが存在した。これを解消するために、新しい企業ブランドである「チャムチンミラク」の開発を支援し、消費者の認識および商標紛争への対応策として「チンミヤンニョムチキン」と「チャムチンミラク」を並行し適用したパッケージデザインのリニューアルを支援した。こうした支援をもとに、全国展開のスーパーであるイーマートに納品するなど、新しい商標やデザインを活用したマーケティングで、売上額の増大が期待される。
韓国特許庁は2024年の予算を前年比25%に増額し、小規模事業者に対する支援をさらに拡大する予定である。特に、IP創出総合パッケージ支援事業の場合、2024年からは昨年と比べて2倍増の市·道別10か所を選抜し、支援する予定である。
韓国特許庁のユン·ジョンソク地域産業財産課長は「知的財産権利化の死角地帯にいる小規模事業者が苦労してきた成果が、他人の不当な商標先取りにより水の泡にならないよう、小規模事業者の知的財産権利化支援事業を持続的に推進し、これにより小規模事業者の知的財産価値を高め、売上増大の助けになり得るように積極的な支援に取り組む」ことを明らかにした。
※出所:特許ニュース(https://www.e-patentnews.com/10754)
有名玩具メーカー「レゴ」を社名に使った製薬会社-大法院「登録無効」
玩具メーカーのレゴ(LEGO)が、当該名称を社名に含む韓国の製薬会社を相手に商標権訴訟を提起し最終勝訴した。
8日法曹界によると、大法院2部(主審:イ·ドンウォン大法官)は、LEGO Juris A/S(以下、レゴ)が、LegoChem Biosciences, Inc.(以下、レゴケムバイオ)を相手に提起した商標登録無効訴訟で商標登録の無効を命じる判決を下した原審を2023年11月16日確定した。
コスダック上場会社であるレゴケムバイオは2015年11月「レゴケムファーマ(LEGOCHEMPHARMA)」の登録商標を出願した。玩具メーカーのレゴ側は、自社が使用している商標と、レゴケムバイオの登録商標が類似し混同をもたらしかねないとし、異議申立を行いレゴケムバイオの商標登録は拒絶された。しかし、特許審判院が、レゴケムバイオの不服申請を受け入れ2018年9月に商標として登録された。
レゴ社は、レゴバイオの商標登録を無効にすることを要請する訴訟を2020年3月、特許法院に提起した。特許法院は「レゴ社の先使用商標と本事件レゴケムバイオの登録商標の要部である‘レゴ’は、全体的に類似している」とレゴ社の側に立った。要部とは、商標の意味を構成するにおいて高い比重を占め、強い印象を与える核心的な部分を意味する。レゴケムバイオは不服し大法院に上告した。
大法院は上告を棄却した。大法院は“本事件登録商標は著名商標である先使用商標が有する識別力、すなわち、単一の出処を表示する機能が損傷する恐れがあるとみなすのが妥当である”とし、登録を無効とすべきだと判断した。商標法34条1項11号は、‘他人の商品の識別力又は名声を損なう恐れがある商標’は、商標として登録することができないと定めている。大法院も、レゴケムファーマの名称の要部を「レゴ」であるとみなした。よって、認知度の高い玩具メーカーレゴの商標とレゴケムファーマの商標が類似しているという点を指摘しつつ、‘被告(レゴケムバイオ)が先使用商標(レゴ)との連想作用を意図して本事件登録商標(レゴケムファーマ)を出願したとみなす余地が大きい’と指摘した。
レゴケムバイオは、ブロックを組み立てるように化学物質を合成するという意味の‘レゴケミストリー’という学術用語があるので、レゴ社とは関係がないと主張したが受け入れられなかった。
大法院の関係者は、“登録商標が商標法第34条第1項第11号後半の’他人の著名な商標が有する識別力を損傷させる恐れがある商標‘に該当し、その登録が無効となるべきであるとみなした最初の事例”と判決の意義を説明した。
出典: 世界日報(https://www.segye.com/newsView/)